3つの技術進歩が光ネットワーク・スケーリングの新しいオプションを提供する仕組み
お客様から貴重な質問をいただく機会が増えています。 新しい光ファイバーの調達スピードがネットワーク・トラフィックの増加スピードに追いつかない状況で、お客様はエンドユーザーの帯域需要への対応方法に関心を示しています。
ネットワークが信頼性の高い高速オンデマンド・グローバル接続を提供する必要性がこれまでになく高まっているため、ネットワークの拡張性の課題への取り組みが、ケーブル事業者、サービス・プロバイダー、コンテンツ・プロバイダーの最大の関心事になっています。プロバイダーは、十分な光ファイバー・リソースを保有していない可能性があるものの、コストがかかる光ファイバーの新規リースは避けたいと考えており、地域によっては光ファイバーを調達できない場合もあります。 また、現場への派遣を最小限またはゼロに抑えてネットワーク容量を追加することは、競争上の大きな優位性になります。なぜなら、新たな顧客需要により迅速に対応し、エンドユーザーの体感品質の向上につなげられるからです。
では、ネットワークをスケーリングする最適な方法とはどのようなものでしょうか。
光通信の技術は急速に進歩しているため、今では既存の光ファイバー資産を活用してネットワークを効率的にスケーリングする有効なオプションが数多くあり、ネットワーク設計者は戦略的にアプローチを選択できるようになっています。たとえば、新しいコヒーレント光装置、C&Lバンド光通信システム、驚嘆すべき高度なソフトウェア分析などのオプションがあり、1つのアプローチに集中することも、複数を組み合わせて採用することもできます。ソフトウェアを使った光ファイバーの大容量化は、本当に可能になっています。 実際、ネットワーキングのあらゆる側面でソフトウェアの重要性が増しています。
コヒーレント光装置を選択する重要性
コヒーレント光装置がさまざまなネットワーキング・アプリケーションへと利用範囲を拡大させ、従来のような陸上と海底のアプリケーションに留まることなく、アクセスにも範囲を広げていることには理由があります。現在、業界は、データセンター内の技術を他の分野に活用することを目指して投資を行っています。コヒーレント・モデムの役割はデジタルデータを光信号に変換することであり、その設計と技術実装の強度によって達成可能なパフォーマンスが決まります。パフォーマンスとは、単一モデムが処理できるデータ量、特定の伝送距離で提供できる1秒あたりの伝送容量、特定の回線レート(例:400Gb/s)において再生なしで達成できる最大距離のことです。このような理由から、ネットワーク容量とその成果であるビットあたりのコストを最大限に向上させるには、コヒーレント・モデムの選択が重要な要素となります。
技術が進歩してシャノン限界(通信チャネルで転送可能な論理的な最大データ容量)に近づきつつある今、新しいコヒーレント光ソリューションにどのような向上を期待できるでしょうか。
業界初の800GソリューションであるCienaのWaveLogic 5 Extremeの商用の提供が始まったばかりですが、この最新技術が現場に導入されたことで、飛躍的な向上が実証されました。導入済みの技術(100G以上)に比べて、スペクトル効率が30~80%向上しています。
WaveLogic 5 Extreme(WL5e)を使用して、ネットワークで商用トラフィックを初めて伝送した事業者はComcastです。長距離伝送で世界初となる600Gb/s波長を使用し、混成光ファイバーリンクで波長容量を2倍に増やしています。それに加えて、ComcastはWL5eを使用することによって、自社の全国バックボーン・ネットワーク全体にわたって再生なしで単一波長の400GbE伝送を達成できます。これにより、設置面積と電力コストを含む全体的なコストを削減し、ビジネス・ペースに合わせてネットワークをスケーリングできるようになります。
使用可能な信号スペクトルを簡単な方法で2倍に拡大
光ファイバーの大容量化では、光ファイバー上で使用可能な信号スペクトルを拡大する方法も選択できます。Cバンドに加えてLバンドを使用することで、1本の光ファイバーのトラフィック量を2倍に増やすことができます。C+Lバンド・システムは数十年前から存在しているので、これは新しいコンセプトではありませんが、このシステムの使用はこれまで限定的なものでした。なぜなら、導入には運用の複雑さが伴うからです。 従来のC+Lバンド構成は設計が複雑であり、手作業が多く、導入に手間がかかりました。装置のアップグレード時には現場へ出動する必要があり、Lバンド波長に合わせてシステムを最適化する専門知識も求められました。最も深刻で最悪な結果は、Lバンド・チャネルの追加によって既存のCバンド・トラフィックに影響が及ぶことです。
Cienaの6500 Reconfigurable Line System(RLS)にも実装されている新しい光通信システムの設計は、Lバンド拡張に伴う従来の課題を解消します。この設計では、まず、CバンドとLバンドの両方のコンポーネントをアンプ・モジュールに統合します。これが意味することは、Lバンドへの拡張時にラインアンプ局への出動や変更が不要になるということです。 RLSは、装置に実装されているCバンドとLバンドにまたがる統合ASE(Amplified Spontaneous Emission、自然放射増幅光)の雑音負荷試験により、フル搭載の非常に安定したC&Lバンド・システムをネットワーク寿命を通して実現することができます。 CバンドとLバンドのいずれかの波長が追加された時点で行われるのは、その周波数にあるASEがその波長に置き換わることだけです。
これは、ネットワーク事業者にどのような意味をもたらすでしょうか。ファイバー容量をこれまでよりはるかに簡単に2倍に増やすことができます。 Lバンドへの拡張において初めて、現場への出動回数を減らし、CバンドまたはLバンド・チャネルを追加する容易かつ予測可能なプロセスを利用して、追加のプランニングとエンジニアリングを行うことなく中断のないLバンドのアップグレードを実行できようになりました。 言い換えると、Lバンドへの波長の追加が、Cバンドへの容量の追加と同じくらい容易になったということです。
新しい統合C&Lバンド技術によってシンプルな運用モデルが提供されているため、C&Lバンド・アーキテクチャーが急速に普及しています。一例として、通信会社Teliaの自社ネットワークのアップグレードを挙げることができます。同社は、米国での事業範囲の拡大、トラフィック伝送の大容量化、新しいクラウドベース・サービスのより迅速な提供のために、ダークファイバーの調達を増やし、CienaのRLS C&Lバンド・ソリューションを使用しています。
ソフトウェアの価値
ソフトウェアおよび分析は、ネットワーク・スケーリングにどのように役立つでしょうか。 これまでファイバースパンの特性を明確化し、リンク・エンジニアリングを実行する際には、旧式のスプレッドシートと最良の推定値を使用して、勘に頼って作業をしていました。その結果、容量計画時には、設計エラーへの対応として控えめなマージン値を選択するため、ネットワーク容量を最大化することができませんでした。 現在の環境では、細かい粒度の可変回線レートのコヒーレント・トランシーバーを利用できるので、ネットワーク事業者はコヒーレント光装置の柔軟性を活かして容量を大幅に最適化できます。
高度なソフトウェア・アプリケーションを使用すると、ネットワーク・パフォーマンスをリアルタイムに可視化し、改善が必要な部分を把握することができます。たとえば、CienaのLiquid Spectrum分析アプリケーションは、時間によって変化する光ファイバー劣化に対応します。導入済みの装置から直接的にアクセス・リンクと信号の情報を収集し、時系列分析を実行して、導入済みのすべての波長の利用可能なマージン量や、アップグレードによって大容量化できる波長に関する情報をユーザーに提供します。ユーザーは、これらの情報に基づいてネットワーク効率を向上させることができます。
CienaのLiquid Spectrumのような高度なソフトウェア・アプリケーションを使用して、ケーブル事業者、コンテンツ・プロバイダー、サービス・プロバイダーは、ネットワークの設計、管理、収益化の方法を変革することができます。 事業者は、ハードウェアの追加やインフラの変更を行うことなく、既存のネットワーク資産の効率性を高められるようになりました。
すべての要素を統合
ハードウェアとソフトウェアの両方にわたる技術進歩が、ネットワーキング市場に変化をもたらし、より俊敏で効率的なAdaptive NetworkTMへの変革を実現しています。 コヒーレント光装置と光通信システムの進歩により、光ファイバーあたりの容量を増やせるようになりました。それと同時に、ネットワーク変革の成功の鍵となるソフトウェアへの依存度が高まっています。 この目標に向かって、ハードウェアはインテリジェンスとプログラマビリティーを高めており、膨大な数のリアルタイム・モニタリング・ポイントと各種アプリケーションに対応する調整機能を組み込んでいます。分析アプリケーションが、リアルタイム・ネットワーク・データを収集し、それらのデータを実施可能なインサイトに変換できるようになりました。最後になりますが、直感的なユーザー・インターフェイスとソフトウェア自動化がネットワーク運用全体の単純化に貢献しています。
これらのハードウェアとソフトウェアの投資が重要である理由は何でしょうか。 現在はかつてないほど多くのものがネットワークに依存しているというのがその理由です。