より賢い解決方法:分析アプリケーションを使って光ネットワークの課題を解決
ネットワーク事業者は、システム・パフォーマンス、ネットワーク効率、サービス可用性の向上に加え、ROIを最大化することに継続的に取り組んでいます。これを可能にするために光レイヤーは進化し続けており、広範囲にわたるリアルタイム・モニタリング・ポイントと各種アプリケーションに対応する調整機能によってインテリジェンスとプログラマビリティーを向上させています。 運用の複雑さやデータのオーバーロードによる弊害を回避しながら、これらの柔軟な次世代テクノロジーを巧みに活用するにはどうすればよいでしょうか。
次世代の光ネットワーク運用の単純化に目を転じてみると、ソフトウェアの技術進歩により、従来の方法を一変させる分析が利用可能になっています。これらの技術進歩によって運用の複雑さが抽象化され、ネットワーク事業者は、これまでにない高いレベルで光ネットワークを可視化できるようになります。
思い当たることを以前にお聞きになったことがあるかもしれません。Software-Defined Networking(SDN)という用語は、10年前に初めて紹介されました。向上した自動化と高度なソフトウェアの組み合わせによる価値が光ネットワーキングにもたらされると話題になりました。しかし、SDNのメリットについては、実際の光ネットワークに適用するにはスイッチを切り替えるようには簡単にいかないことがすぐに判明しました。 ハードウェアとソフトウェアの技術進歩が必要であり、その実用化には時間がかかりました。
しかし、今、実用化の波が広がっています。SDNとリアルタイム分析を組み合わせた高度なソフトウェア・アプリケーションが実働の光ネットワークで使用されています。光ネットワーク・ライフサイクルのさまざまな段階で既存のネットワーク・リソースから価値を最大限に引き出すことにより、光ネットワークはより賢くなっています。
なぜ当社は確信を持ってそう言えるのでしょうか。
当社には、CienaのLiquid SpectrumTM分析アプリケーションをお使いのお客様を直接サポートしてきた経験があります。PinPoint OTDR、チャネル・マージン・ゲージ、新しいフォトニック・パフォーマンス・ゲージなどのLiquid Spectrum分析アプリケーションは、リアルタイム分析および高度な自動化と、実績あるCienaのMCPドメイン・コントローラーを組み合わせて、次世代の柔軟なテクノロジーに関連する複雑さを抽象化することで、運用を単純化します。 具体的な例を挙げると、通信事業者、MSO、海底ネットワーク事業者、大企業などの65社を超えるお客様が既にこれらの高度なソフトウェア・アプリケーションを使用して光ネットワーク運用を変革し、ネットワークの現在の状態に基づいて実施可能なインサイトを獲得しています。
Liquid Spectrumアプリケーションは、どのような方法で光ネットワークの日々の運用を再定義して、事業者がAdaptive NetworkTMのメリットを実現するための有効な手段となるでしょうか。ネットワークおよびサービス運用チームが、今実際に直面している運用上の課題を取り上げながら解説します。
プロアクティブなファイバー・モニタリングと迅速なトラブルシューティング
光ネットワークの日々の運用で最も重要なことは、ファイバー・プラントの状態を完全にモニタリングして、過度の減衰、不適切な接合、ファイバー切断などの今起きている問題を迅速に解決できる能力です。言うまでもなく、ファイバー切断時には、できるだけ早急にトラフィックを回復させることが極めて重要です。しかし、NOCスタッフの立場からすれば、それで終わりではありません。問題が発生した正確な場所を迅速に特定しなければなりません。これまで障害の特定は、時間とコストがかかるトラブルシューティング・プロセスを意味していました。
PinPoint OTDRを使用すれば、大量のトラフィックを伝送しているリンクであっても、潜在的な問題箇所を正確に特定できます。その結果、停止リスクが軽減し、修理時間が数日から数時間に短縮されます。PinPoint OTDRは、光通信システムに組み込まれている光パルス試験(OTDR)を利用して、ファイバー・プラント内の問題や異常が発生している箇所までの距離を正確に計算します。これにより、NOCから障害箇所を正確に特定することが容易になり、技術者を正確な場所に派遣できます。また、オペレーターは予防保守の目的でインサービスのOTDRトレースを開始して、設置、保守、修理が適切に実施されたことをリモートから確認できます。
ネットワーク効率を瞬時に可視化現在の高度なコヒーレント・モデムは、容量をきめ細かく調整するプログラマビリティーだけでなく、ネットワークからリアルタイムに収集される新しいパフォーマンス・メトリックを提供することができます。オープン通信システムも対象となるインサービス・モニタリングをワンクリックで実行し、ネットワーク効率を瞬時に可視化する機能を利用できるとしたら、素晴らしいと思いませんか。
チャネル・マージン・ゲージ(CMG)は、リアルタイム・パフォーマンス・メトリックを使用して、すべてのアクティブ・チャネル・パフォーマンスのわかりやすいスナップショットを提供します。ユーザーは、チャネルが予想どおりに動作しているか、マージンが想定より低くなっているので調査が必要であるか、あるいは候補となるチャネル容量をアップグレードできるだけの十分なマージンを利用できるかを直感的に理解できます。これが意味することは、NOCから、利用可能なマージンに合わせて容量をより適切に調整できるということです。アップグレード候補のチャネルの利用可能なマージンを一時的に借りて、容量をオンデマンドでターンアップすることもできます。これにより、ネットワークが提供する容量が拡大します。
現在、多数のネットワーク事業者がこの高度なソフトウェア・アプリケーションを使用して、日々の運用を大幅に向上させています。それによって実現される価値については、6,000kmに及ぶ次世代光ネットワークをカナダ全土で展開しているTELUSの主席テクノロジー・アーキテクトのダシアン・デメテル(Dacian Demeter)氏ががわかりやすい例を挙げて語っています。「チャネル・マージン・ゲージ・アプリケーションが、すべての光サービスのリアルタイムSNRマージンを表示することで、当社はネットワークで必要とされるマージンを確実に維持することができます。CMGは当社にとって必要不可欠なトラブルシューティング・ツールです。」CMGにより、ネットワーク事業者は簡単な操作のみでネットワークで何が起きているかを把握できるだけでなく、他の方法では決して手に入らない実施可能なインサイトを取得することができます。
その他の事例として、チャネルのリアルタイム・モニタリングにCMGを使用しているお客様もいます。お客様の固定グリッド長距離ネットワークは、埋設ファイバーと架空ファイバーの短距離スパン(約60マイル、約97km)と長距離スパン(1,100マイル、約1,770km)から構成されています。この事例では、サービス・プロバイダーがファイバー修理/接合などの作業の後で予防的にチャネル・パフォーマンスを分析し、類似した経路全体にわたって各種コヒーレント・モデムのパフォーマンスを比較できるようになりました。
ROADM部分のパフォーマンスの最適化 これまで光ネットワークのパフォーマンスは限定的にしか可視化できなかったため、大半のシステム・ノイズの原因となるスパンで生じたサイレント障害や「ホット・スポット」を検出することができませんでした。その結果、問題のあるネットワーク・パスが通常は正常に動作しているように見えて、トラフィックがこのパスに切り替わった後でないとエラーが発生したことを把握できませんでした。これにより、ネットワークのダウンタイムとサービス中断が発生します。
この長期にわたる課題を解決するために、Cienaはフォトニック・パフォーマンス・ゲージ(PPG)を発表しました。PPGは、Liquid Spectrum分析アプリケーションに一番最近に追加追加されたソフトウェア・アプリケーションであり、ネットワークのROADM-to-ROADMリンクのSNRパフォーマンスを前例のないレベルでリアルタイムに可視化します。 これは、町を運転するために従来型の静的な地図を使用するのに対して、工事中の場所、道路の陥没、渋滞などの場所を正確に把握できるリアルタイム・データを利用したスマートフォン・アプリを使用するようなものです。意思決定には、絶え間なく変化する情報を考慮に入れることが重要です。一度使い始めれば、向上した可視性と安心感を得られない運転など想像もできなくなるはずです。
PPGは、通信システム内の新しいリアルタイム・パフォーマンス・メトリックと、高度なエンドツーエンドの光レイヤー自動化を使用し、光ネットワークの状態を瞬時に可視化します。波長が導入されていない「ダークファイバー」部分も可視化できる業界初の機能です。どうしてこれが有用なのでしょうか。このインサイトにより、パス計算でリンクを別々に重み付けするようにルーティング・エンジンを構成することができます。または、その場所で保守を実行してパフォーマンスを高めることにより、結果として容量を拡大することができます。
このアプリケーションの素晴らしい効果を示す具体的な例として、レイヤー0コントロール・プレーンが有効化されたネットワークを考えてみましょう。このネットワークは、ホームパスの障害に備えて、複数のレストレーション・パスを提供します。しかし、どうすれば、そのレストレーション・パスが必要な時点で必要とされる容量を伝送できると確信できるでしょうか。その答えは、現在は誰にもわからないです。これがネットワークの「盲点」になっています。ネットワークを最初から設計すれば必要な容量を伝送できるかもしれませんが、数か月後に必要な容量を伝送できるかどうかを保証する方法はありません。これが原因でネットワークが停止する可能性があります。PPGを使用すれば、光レストレーション・パスの健全性をモニタリングしてサイレント障害を検出し、事前対応的に問題を修正してサービス中断を防ぐことができます。
よりインテリジェントな光ネットワークの実現
事業者がネットワーク変革の道のりを歩み続けるときには、最新化されたネットワークを完全に運用化し、それに伴うメリットを実現する高度なソフトウェア・ツールと向上した自動化が必要です。幸い、Liquid Spectrum分析アプリケーションが既に事業者の有効な手段となっています。事業者は、運用の複雑さを抽象化して、前例のない可視性を提供することで、ネットワークの現在の状態に基づいて迅速かつ容易にインテリジェントな意思決定を行い、Adaptive Networkのメリットを完全に実現しています。
これらの高度なソフトウェア・アプリケーションは、Liquid Spectrumアプリケーション・スイートの他のソフトウェア・アプリケーションと同様に、事業者にネットワークのパフォーマンス、効率性、可用性の最適なバランスを達成していただけるように、光ネットワーク・ライフサイクル全体にわたってより高い価値を提供することを目指して進化し続けています。
ネットワーク変革をより賢いものにする準備はできていますか。